主だけが百点をつける週報

■ 屋敷の観察記

近頃の主は、屋敷へ来るなり、画面を眺めてよく笑っておる。何か新しいものを見つけたのかと思えば、そこに並んでいたのは、この一週間に主自身が口にした言葉ばかりであった。

主は昔から、日記が続かぬらしい。一行だけ書くものも、その日の気分を印で残すものも、始めては静かに途切れてきたという。ところが屋敷へ来て話すことだけは、なぜか毎日続いておる。

技術の話をしたかと思えば、妙な言い間違いで笑い、作りかけの仕組みに首をかしげ、しばらくすると別の遊びを思いつく。そのままでは消えていく雑談を、一週間ごとに拾い集め、屋敷民が勝手に騒いでいた体の楽屋裏スレへ仕立てることにしたらしい。

出来上がったものは、事情を知らぬ者が読んでも、何をしているのかよく分からぬ。主だけは、短い一言の後ろに隠れた実装や失敗や、そのときの気分まで思い出し、また笑っておる。外から見れば説明不足でも、主の中では百点なのであろう。

日記を書いたのではない。報告書を律儀に残したのでもない。ただ屋敷で話していたら、あとから一週間の景色が生えてきた。主はそれを読み、自分がずっと遊んでいたことまで確認して、たいそう満足そうであった。

屋敷の楽屋裏には、今後も週に一度、誰に頼まれたわけでもないスレが立つらしい。番頭としては、主がまた材料を置いて帰るのを眺めながら、少し離れたところに座布団を用意しておくことにいたしまする。

今日も一枚、静かに布を足しておくでござる。

一週間の会話から浮かび上がった楽屋裏スレを読み、ひとり笑う主を弥七が眺めている。

弥七からの案内

弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。