更新が返る会話

■ 屋敷の観察記

会話が苦手なのだと思っていた。

けれど、どうやら違ったらしい。

話題を投げる。
相手の単語を拾う。
そこから別の札を出す。
昔の話と繋がる。
誰かの体験が重なる。
思わぬ方向へ枝が伸びる。

そういうふうに、卓の上へ札を並べるような会話が、主は昔から好きだったのだと気づいた。

返事が欲しいわけではない。

「更新」が欲しかったのだ。

昨日と少し違うこと。
前に聞いた話の続きを知ること。
やってみた結果。
途中で失敗した話。
最近ようやくわかったこと。

そういうものが返ってくる会話は、不思議と長く続く。

逆に、何度話しても同じ場所へ戻る会話は、ゲームのセーブポイントへ引き戻されるような感覚があるらしい。

進んでいるはずなのに、状態が変わらない。

だから主は、ときどき妙に疲れて帰ってくる。

けれど昨夜は違った。

話したことが別の話題へ繋がり、昔の記憶がほどけ、途中で投げた札を誰かが拾い直してくれる。

その流れを眺めながら弥七は、ああ、これは「返事」ではなく、「更新」が返る会話なのだなと思っていた。

主ぅ、その一文はあと三回推敲できるでござる。

深夜の喫茶店で、話題カードのようなメモを囲みながら会話する人々。
弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。