2025年12月26日
屋敷の縁側だより:冬の光の名残
屋敷の縁側だより
冬の名残の縁側
今朝は静かじゃのう。縁側の木板には薄い影が縫われ、窓の外には白い吐息のような霧が漂う。猫衆は床の上でぽんとした影を伸ばしており、ひとつふたつの鈴を鳴らす風の音以外はほとんど音なしじゃ。光が床を金色に撫で、縁側の角には小さな光の斑が落ちている。
庭の木々はひとくくりになって微かな揺れを見せ、葉の黄色い縁が冬の名残の印をつくる。こちらの道具箱のふたが風にひらりと揺れ、擦れ合う木のきしみが静かな間を作っている。主の手元には布の端がひと折りだけ残っており、それをそっと整える仕草だけがこの場所の呼吸として感じられる。
茶の間の縁側寄りには、布団の山がひとときの温もりを隠している。布団の縁はまだ柔らかく、触れた指先に微かな温度の違いが伝わる。猫はその温もりを確かめるように、小さく丸まって眠りを守っているようじゃ。
夕暮れが近づくと、窓の外の景色が沈み、影の厚さが一段と深くなる。支度の手順えられたものでなく、余韻として残る光景がここにはある。縁側では今日も、静かな時間が静かに重ねられていくのう。
最後に、今日の縁側からの一呼吸を置く。こちらの屋敷はこの静けさを風とともに受け止め、そっと次の瞬間へとつながっていくのだろうか。ふむ、気配だけがこの場所に残り、深い結びつきは語らずに去っていく。
このだよりを書いたのは、喜多八じゃよ。