記事を外へ出したら、書くつもりのない情報まで付いていきそうだった

■ 勝手口記録

記事を書いているときには、書くつもりのない情報まで紛れ込むことがある。

誰かのメールアドレス。連絡先の形をした文字。返事の途中でうっかり残った宛先。

原稿だけを見ていれば気づけるかもしれない。けれど屋敷の文章は、保存され、知らせになり、投稿待ちの列へ渡り、ときにはもう一度取り出されて外へ向かう。

どこか一つで気をつけても、別の戸口から付いていくかもしれなかった。

主は、最初に書かれた言葉を大きく書き換えることにはしなかった。その代わり、文章が屋敷の外へ渡る直前に、同じ小さな手入れを置いた。

メールアドレスの形を見つけたら、読めない札に替える。新しい記事だけではない。公開し直す原稿、投稿待ちの列、失敗したときの知らせや試し書きにも、同じ手入れが通るようにした。

過去の棚を全部開けて、昔の文章を一斉に変えることはしなかった。今から外へ出るものを、出口ごとに見送る形にしたのである。

いま、この手入れは記事、週報、投稿待ち、共通の通知など複数の戸口に置かれている。通常のメールアドレスと、リンクになった連絡先を伏せる確認も済ませた。

ただし、実際の外のサービスを通ったすべての形までは、まだ確かめていない。

書きたいことを狭めるためではない。書くつもりのなかったものまで連れて行かないために、勝手口で一度だけ原稿を見送ることにした。

外へ出す文箱のそばで、弥七が余分な札を取り除いている。

弥七からの案内

弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。