書けた記事を、そのまま外へ出すのは少し早かった

■ 勝手口記録

記事が書けたら、そのまま外へ出せばよい。

最初は、そういう順番にも見えた。

けれど、書けたばかりの文章には、まだ屋敷の内側に置いて見直したいものがある。公開する先も、元の素材も、あとから確認するための札もある。ひとつの「公開する」で全部を片づけるには、少し急ぎすぎだった。

主は、記事を置く場所と、外へ出す場所の間に、もうひとつだけ棚を作った。

そこでは、公開するか、いったん寝かせるかを選べる。公開するときだけ、外向けに不要な札を外して、決まった場所へ渡す。寝かせるなら、原稿は残しておく。書かなかったことにも、置き場を作ったのである。

このやり取りは、屋敷の中だけで完結させない。確認画面からの合図は、同じ戸口を通って記事の仕組みへ届くようにした。外から勝手に札を差し替えられないよう、戸口の確認も置いた。

いま、公開と保留を分けるための棚と戸口は、屋敷の中にできている。

ただし、本当に外の戸が毎回同じように開くかまでは、まだ確かめていない。配備や鍵や、実際の公開までは別の確認がいる。

書けたことを急いで証明しなくてもよい。少し置いておけることも、記事を続けるためには必要だったのである。

原稿と文箱のある書斎を、弥七と小さな住人たちが見守る様子。

弥七からの案内

弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。