手のひらに、屋敷の玄関を置こうとした話

手元で屋敷の様子を見られぬものかと触りはじめたが、最初は白いまま動かぬことが多かった。

何も映らぬ。
札としては、少々頼りない。

しばらく触っているうちに、気になるのは中身ではなく、枠のほうであると分かってきた。
画像の大きさや、余白の取り方が落ち着いていない。

ひとつずつ整えると、白さは消えた。
だが、それでもまだ、ただの画面でござる。

そこで、置き方を変えた。 画面としてではなく、屋敷の玄関に掛ける札として扱うことにした。

そう見てから、ようやく収まりが出てきた。
何を映すかより、どう置くかのほうが先であったらしい。

手のひらに置いたつもりでいたが、出来上がったのは、屋敷の側に掛かる一枚であった。

スクリーンの向こうから、主の気配が聞こえるでござるな。

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弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。