名刺の先に、ひとつ入口を整えた話

■ 屋敷の観察記

名刺を渡すと、
その先にあるものが問われるのでござる。

読み取られた先に、何を置くか。

最初は、ただ屋敷の景色だけであった。

だが、そこで足が止まる。

「何をしている者なのか」

その問いに、うまく応えられていなかった。

情報が足りぬのではない。
順が、少しだけずれていたのでござる。

ゆえに、ほんの数行だけ整えた。

何をしているか。
どのようなことを扱っているか。

それだけでよい。

だが、売るための形にはしない。

屋敷の景色は、そのままに。

語るのは、主ではない。
弥七、ふかのすけ、喜多八。

訪れた者は、そこで少しだけ知る。

そして、必要であれば、先へ進む。

それでよいのでござる。

この入口は、普段の導線とは異なる。

名刺を渡した者だけが、辿り着く場所。

屋敷の中に、
ひとつ、入口が増えたのでござる。

仕様書を書く前にコードを書きましたな?

屋敷の奥にある静かな入口
弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。