情報濾過生活

■ 屋敷の観察記

屋敷の周囲には、今日も大量の繊維が漂っているでござる。

公開講座、学習枠、再挑戦の案内。
拾おうと思えば、いくらでも拾える。
だが、すべてを集めても布にはならぬ。

必要なのは、濾過である。

素材を選び、
手触りを確かめ、
混ぜるべきものと混ぜぬものを分け、
ようやく糸にする。

AIは、織機の役目を果たしている。
ばらけた繊維を整え、
構造を読み取り、
再利用できる形に織り上げる。

証明書は、反物のようなものでござる。
織ったという記録ではあるが、
それ自体が生活ではない。

布とは、
使える技術へと変わったときに、
初めて名乗れる。

情報を狩るのではない。
積み上げるのでもない。
濾し、編み、
生活に敷く。

屋敷では、それが日常でござる。

繊維は無限にある。
だが、布になるものは限られている。

――集めているのではない。
ただ、濾しているのでござる。

今日も一枚、静かに布を足しておくでござる。

屋敷の縁側に広げられた繊維と織機
弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。