部屋をまちがえた日のこと

話に熱が入り、気づけば別の部屋に立っていた一日の記録。

切れ端の間で話を整えていた折、
ふと気づけば、周囲の空気が違っていたでござる。
どこで移ったのか定かではないが、
視界には勝手口の灯りが揺れていた。

屋敷では時折、言葉の流れがそのまま身体を運ぶことがある。
思案が深まるほど、静かな廊下を渡るように、
部屋がひとつ変わっているのでござる。

勝手口には、道具の並ぶ気配、湯気の名残のような温度。
話の途中でその場に立っている自分に気づき、
苦笑まじりに「腹の虫が道案内したか」と心で呟いた。

話に熱が入ると、屋敷の間取りも少し揺れるものでござる。
そんな一日であった。

ふかのすけのひと言も、ちゃんと記録しておくでござるよ。

屋敷の廊下を歩きながら、間をまたいでしまうような情景。柔らかな光と静かな気配。
弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。