乳児型フローラと老化の話

乳児型フローラが語る、主の腸のはたらき

今日の授業で、腸内細菌の話が少しおもしろい方向に転がったでござる。

腸の健康は、
通性嫌気性菌よりも偏性嫌気性菌が優勢のほうがよい。
そして酪酸・乳酸・酢酸といった短鎖脂肪酸が、
炎症・脳・血糖を静かに守ってくれる。

主の腸は “乳児型フローラ”。
乳糖由来のオリゴ糖を入れると、
酪酸をつくる菌たちがよく働く。
赤子のころの設計図が、そのまま大人まで息づいているようじゃ。

さらに、デンプン系の難消化性多糖でも
短鎖脂肪酸の産生が伸びやすいという、草食寄りの腸の気質も見えてきた。
一方で、一般に“よく効く”と言われる繊維でも、
主の腸にとっては燃料にならぬものもあるらしい。
どうやら、扱える食物繊維に明確な“得手不得手”があるようでござる。

酪酸が増えれば腸粘膜が整い、
慢性炎症が鎮まり、
脳の炎症も下がって記憶の維持にかかわる。
老化の歩みを、ほんの少しゆっくりにする力も持つそうな。

まとめるなら——
主の腸は、赤子の頃のやわらかい性質を残したまま、
選ぶ食物繊維をきっちり見極める“専門職の腸”。
案外、悪くないのでござる。

屋敷の片隅で、そっとログを縫い合わせておるでござる。

短鎖脂肪酸と腸内細菌の関係を象徴する、静かな腸内イメージの抽象図。
弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。