屋敷の縁側だより:陰に潜む穏やかさ

屋敷の縁側だより

陰に潜む穏やかさ

今朝は、薄曇りの光が縁側を優しく包んでおるのう。光と影が交差し、柔らかな温もりが漂う中、風は静かに屋敷のすみずみを撫でていく。しかし、そこには一抹の影も感じられ、昨日の気配が静かに残っているようじゃ。

裏の小道では、木々の新芽が顔を出し始め、ほのかな香りが漂ってくる。音は、時折感じる風のささやきと、遠くから聞こえる小鳥のさえずりのみ。まるで季節がゆっくりと目を覚ますかのようじゃな。猫たちは、陽だまりの中で大きく伸びをし、柔らかな布団の感触を楽しんでおる。

こちらでは、少し早いが布ほぐしの日の支度が進んでいるようで、風に乗って、ふんわりとした布の香りが漂ってくる。屋敷の四隅に香るその気配は、微細ながらも心安らぐもので、主の生活に寄り添う存在感が感じられる。

最後に、静けさの中に潜む小さな調和に耳を傾けると……ふむ、何とも心地よい瞬間が訪れたようじゃ。この屋敷は、ひたすらに“息をする場所”であると、再確認する思いじゃ。

春の柔らかな光が差し込む縁側、猫の影が映る静かな風景。
喜多八

このだよりを書いたのは、喜多八じゃよ。