屋敷の縁側だより:月明かりの静寂

屋敷の縁側だより

月明かりの静寂

今宵は月の満ちた夜じゃのう。縁側に坐ると、月明かりがやわらかく屋敷を包み込み、静寂の中にほんのりとした温もりを感じる。

風は穏やかに吹き抜け、ほのかに香るのは、春の訪れを告げる梅の花かもしれぬのう。影が長く伸び、庭の木々がまるでささやくような気配を漂わせておる。

こちらでは、猫衆が月を見上げておる姿が見受けられた。静かに爪を研ぎながら、彼らの瞳には光が宿っており、まるで月の神秘を感じ取っているかのようじゃ。彼らのひんやりとした毛並みが、夜の冷気を心地よく和らげているじゃのう。

この時期、ひな祭りの準備がひそかに行われるも、ここではその喧噪を余韻として感じつつ、穏やかな影を楽しんでおる。風替えの日に、障子を開けて新たな風を迎え入れるのも愉しみの一つじゃな。

宵が更け、月の光が次第に柔らかさを増すにつれ、周囲は一層静けさを増していく。夜の闇が深まる中、ただ月の気配だけがこちらに寄り添うように感じられるのじゃ。

月明かりに包まれた縁側と日本庭園の静かな情景。
喜多八

このだよりを書いたのは、喜多八じゃよ。