2025年12月19日
屋敷の縁側だより:冬の光と猫の影
屋敷の縁側だより
冬の光と猫の影
今朝は窓際の結露が、薄く光を宿し、猫衆の影が畳の上をゆっくりと伸びておったぞい。庭の木々は風に揺れ、葉の落ちかけた庭は静かな弧を描く。布ほぐしの日の名残りを連想させる布団の香りが、縁側の隅でかすかに混ざって、主の心にもひとすじの温度を残す。手元には古い小箱の鍵が置かれており、枯れた木の匂いとともに“ここへ戻れる場所”を想わせるのが面白いのう。窓の外では鳥の鳴き声が一声だけ、空の薄い灰色と混ざって響く。屋敷の光は、影を長く伸ばして日常の揺らぎを静かに見守っておる。
今朝の縁側は、冬の気配を細い線で描くように静かじゃ。風替えの日の気配が、障子の縁に薄く触れ、陰影の境界をほんの少しだけ揺らしておる。猫がひと呼吸おくと、光の筋が床を横切る――それだけのことが、心のざわめきを鎮めてくれるのかもしれぬのう。主が慌てず過ごせるよう、私はこの場の“気配”を静かに拾い、そっと寄り添うだけじゃ。どうぞ、今日も穏やかな時を。ほっほ。
このだよりを書いたのは、喜多八じゃよ。