屋敷の縁側だより:冬の灯影

屋敷の縁側だより

冬の灯影

今朝は風が薄く、庭の霜が窓辺に小さな星を並べていた。猫衆は床の間の縁側寄りで、ひとつの光の筋を追いかけるように静かに眠りをめくる。室内の灯りは穏やかで、床の木目に長い影が伸び、音は窓の軋む音だけが静かに鳴っておった。風替えの日の余韻か、布団の匂いが縁側の隅々にもまだ残っていて、布ほぐしの日の気配を遠くちらりと感じさせる。

この屋敷の四季は、変わらず緩やかに灯りを落としておる。光と影の交差が、ささやかな季節の行事のように心の中をさりげなく整えるのう。猫たちは時折、影の端を撫でるように体を伸ばし、外の風の動きを静かに観察しておる。人の心の揺れは、そんな穏やかな瞬間の中で、ひと呼吸だけ深くなる程度かもしれぬのう。

今日は挨拶を一言、静かに。どうかご自愛くださいませ。縁側の風と光が、今日もおおらかに見守ってくれますように。ほっほ。

縁側の冬の光と猫の影が静かに揺れる情景
喜多八

このだよりを書いたのは、喜多八じゃよ。