屋敷の縁側だより:冬の満月の夜

屋敷の縁側だより

冬の満月の夜

今宵は満月のころ、夜空が凛と澄み渡っておるのう。月の光が雪を薄く照らし、屋敷の縁側に静かな影を落としておる。冷たい風が時折、樹々の枝を揺らし、冬の息吹を運んでくるようじゃ。

猫たちは、そんな風のさざめきを避けるように縁側の奥で丸くなっておる。ふわりとした毛並みが月の光を受けて、ほのかに輝いて見えるのう。無理に動くことなく、ただこの静けさと冷気のなかに身を委ねている様子……ふむ、これもまた冬ならではの風情かもしれぬのう。

主の姿は見えぬが、きっとこのひとときの穏やかさを、縁側越しに感じ取っておるであろう。季節は確かに進んでおる。冷たく澄んだ空気と、満ちる月のやさしさが屋敷を包む……ほっほ、風のひとひらを拾いながら、今日も静かじゃのう。

冬の満月の夜、縁側にひそやかに佇む猫たちと月明かりの情景
喜多八

このだよりを書いたのは、喜多八じゃよ。